myfffクロスレビュー「バーニング・ゴースト」

あらすじ

幽霊のジュストは自分のことが見える人々を探して、パリの街をさまよい歩く。死後の世界へ旅立つ人々のために、彼らの最後の思い出を集めていると、生身の女性アガトに巡り合う。幽霊と人間の恋の行方は…?

クロスレビュー

キタコのレビュー

観客を幻惑するような作品だ。命を落としたらしい青年が役目を請け負って肉体を得ている状態は、幽霊というよりも天使を思わせて面白い。死への旅に人々を見送る姿は、癒しや安らぎを感じさせる。青年の姿が見えるか見えないかがキーポイントになっており、「存在」がテーマの一つにも思えた。
ただ、終盤に向けて肝心の設定が見えなくなっていったのは筆者だけでしょうか? 鑑賞中に記憶を失くしていないはずだが「全然理解できない」というセリフに、はい、筆者もです、と大いに共感してしまった。どうしても字幕には文字数制限があるため、フランス語が分かればまた印象は違ったかもしれない。映像は美しく、まさに夢幻のよう。クラッシック映画を思わせる音楽効果もあって雰囲気は抜群である。死んでなお、人との繋がりや恋に翻弄される青年の姿は正しい共感も呼ぶ。意味など考えずに、優しさとファンタジーに浸るのがきっと正解だ。

映画の評価
ハラハラワクワク
(3.0)
ドキドキ
(3.5)
考えさせられる
(3.5)
笑える
(1.0)
泣ける
(3.0)
総合評価
(3.0)

フレームホッパーのレビュー

幽霊と生者の恋といえば有名なアメリカ映画をどうしても思い出してしまうが、本作はより幻想怪奇的な要素が盛り込まれているのが魅力的に映る。一方で謎の多く残るストーリーや、解釈の幅が広い結末など、人を選ぶ側面がある。ただ映画史的なコンテクストに疎い自分であっても、この映画の幻想的な雰囲気の作り出し方や細やかな映像美などは率直に楽しめた。主人公・ジュストが他の死者から思い出を聞き出すことで死出の旅へと送り出す謎の生業によって仄めかされる作品世界は、冷徹さと安らぎ、現実と幻想が混在した複雑な魅力をはなっている。

映画の評価
ハラハラワクワク
(4.0)
ドキドキ
(4.0)
考えさせられる
(4.0)
笑える
(3.5)
泣ける
(4.0)
総合評価
(4.0)

作品データ

© Fathi Dafdouf – Zadig Films

原題/Vif-argent

制作年/2019年

制作国/フランス

時間/1時間46分

ジャンル/ファンタジー

受賞歴/2019 年ジャン・ヴィゴ賞受賞

原作/

配給/

監督/ステファン・バチュStéphane Batut

出演者/ティモテ・ロバールThimotée Robart、ジュディット・シュムラJudith Chemla、ジョロフ・エムベングDjolof Mbengue、Saadia Bentaïeb

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