地、水、風、火の4大精霊のうちの一人水の精霊ウンディーネを題材とした物語はベルリン国際映画祭銀熊賞最優秀女優賞を受賞している。本作を鑑賞する前に知っておきたいウンディーネ伝説の3つのポイントを解説。
あらすじ

“水の精・ウンディーネ”の神話をモチーフに描いた恋愛ドラマ。ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネは、アレクサンダー広場に隣接するアパートで暮らし、博物館でガイドとして働いている。恋人ヨハネスの浮気に気がつき悲しみに暮れる彼女の前に、愛情深い潜水作業員クリストフが現れる。2人は強く惹かれ合い、新たな愛を大切に育んでいく。やがて、ウンディーネが何かから必死に逃げようとしているような違和感をクリストフが感じ取ったことをきっかけに、彼女は自分の宿命に直面することとなっていく。
作品情報

公開日
2021年3月26日
上映時間
90分
監督・キャスト
監督:クリスティアン・ベッツォルト
主要キャスト: パウラ・ベーア、フランツ・ロゴフスキ、マリアム・ザリー、ヤコブ・マッチェンツ
予告編
公式サイト
映画『水を抱く女』オフィシャルサイト 2021年3/26公開 (ayapro.ne.jp)
感想レビュー

本作は神話が題材というストーリーでファンタジーの要素とバッハの旋律が上手く重なり合いなんとももの悲しくストーリーが進むにつれて心の奥底に響くその感覚は水中を深く深くゆっくりと潜るような心地よい化学反応が引き起こされている。
主人公は4大精霊のひとり水の精霊ウンディーネと同じ名前の女性。ウンディーネという精霊について3つのポイントを押さえてから鑑賞すると作品の理解が深まる。このポイントを知らずに鑑賞してしまうともしかしたら鑑賞後の理解が気違い女の大暴走ストーリーへと早変わりしかねない。
ウンディーネという精霊について
ポイント①ウンディーネは水のそばで男性に罵倒されると水に帰ってしまう
ポイント②男性に浮気されたらその相手を殺す
ポイント③ウンディーネは人間の男性と結ばれることで魂を得るが、水に帰ると魂を失う
ウンディーネ伝説を扱った作品の代表としてアンデルセンの「人魚姫」があげられる。他にもなんと手塚治虫が「オンディーネ」という漫画を書いている。
好きな人が出来ると「恋は盲目」という言葉のように周りが見えなくなるような恋愛を繰り返すウンディーネの姿の裏に彼女が恋愛を相談する友人の存在がいない。それは作品の中で一人の女性をとことんクローズアップするということに繋がり最優秀主演女優賞を受賞するほどに記憶にも残る存在感となった。 本作の監督の前作「未来を乗り換えた男」にも出演していた主演の2人。3人の親密な関係があったからこそ濃密な作品が出来上がったのだろう。
まとめ

本作が気に入った人には監督の過去作品「未来を乗り換えた男」を強く推したい!主演の2人も出演しているためとても興味深く鑑賞出来るだろう。監督の次回作がいまから楽しみだ。
(文:編集長)
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