村松の映画に一言第8話「シカゴ7裁判」

「ソーシャル・ネットワーク」でアカデミー脚色賞を受賞し、「マネーボール」や自身の監督作「モリーズ・ゲーム」でも同賞にノミネートされたアーロン・ソーキンがメガホンをとったNetflixオリジナル映画で、ベトナム戦争の抗議運動から逮捕・起訴された7人の男の裁判の行方を描いた実録ドラマ。

公開時期がアメリカ大統領選挙と重なったこともあって当時のトランプ政権下の出来事重なる部分が多く、そういった意味では非常に現代的な映画とも言える。

あらすじ

Netflix映画『シカゴ7裁判』独占配信中

1968年、シカゴで開かれた民主党全国大会の会場近くに、ベトナム戦争に反対する市民や活動家たちが抗議デモのために集まった。

当初は平和的に実施されるはずだったデモは徐々に激化し、警察との間で激しい衝突が起こる。

デモの首謀者とされたアビー・ホフマン、トム・ヘイデンら7人の男(シカゴ・セブン)は、暴動をあおった罪で起訴され、裁判にかけられる。

その裁判は陪審員の買収や盗聴などが相次ぎ、後に歴史に悪名を残す裁判となるが、男たちは信念を曲げずに立ち向かっていく。

感想レビュー

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「シカゴ7裁判」は反戦映画であると同時に異色の法廷劇でもあります。テーマの扱い方、深堀の仕方次第ではありますが、上手く立ち回るととてもいい映画になるジャンルです。

監督・脚本は「ソーシャル・ネットワーク」でアカデミー脚色賞を受賞し、「マネーボール」や自身の監督作「モリーズ・ゲーム」でも同賞にノミネートされたアーロン・ソーキン。本作でも賞レース、特に脚本部門では中心の一作になっていると言えるでしょう。

時代背景やアメリカにとってのベトナム戦争の在り方(敗北のしたこと)などについて、多少、歴史的な予備知識が必要ではありますが、見終わったときに残るものは軽いガッツポーズと熱い感動です。

群像劇であり、歴史の一ページを切り取った作品、法廷劇でもある本作ののラストの物語の締め方としては新しい形を提示したと言えるかもしれません。

実話ベースなので、多くの人物、出来事、組織がそのまま登場しています。その中ではエディ・レッドメインとジョセフ・ゴードン=レヴィットの二人が非常にいい演技を見せてくれます。そしてヒッピー的なキャラクターとして登場、サシャ・バロン・コーエンの演技は彼の隠し持つクレバーさを感じることができます。「ボラット」シリーズなどで知られるサシャ・バロン・コーエンですが、本作での演技で各映画賞の助演部門の多くにノミネートされています。

もう一人、忘れられない演技を見せたのは裁判長を演じたフランク・ランジュラ。このベテラン俳優は本作で、ほぼ一人で物語の悪役部分を引き受けていて、映画全編において憎々しい存在感をフルに発揮しています。彼の演技があったが上にラストの見事なカタルシスをもたらしていると言っていいでしょう。

豪華俳優陣の演技合戦が堪能できる本作はサシャ・バロン・コーエンが映画賞レースの助演部門を賑わしていますが、彼以外の俳優たちのパフォーマンスも最高に光っています。

映画の評価
ハラハラワクワク
(4.0)
ドキドキ
(4.0)
考えさせられる
(5.0)
笑える
(4.0)
泣ける
(3.0)
総合評価
(4.5)

作品データ

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原題/The Trial of the Chicago 7

制作年/2020年

制作国/アメリカ

時間/130分

ジャンル/ドラマ

受賞歴/第78回ゴールデングローブ賞最優秀脚本賞、第93回アカデミー賞作品賞、助演男優賞、撮影賞、歌曲賞、編集賞、脚本賞ノミネート

原作/

配給/

監督/アーロン・ソーキン

キャスト/エディ・レッドメイン、アレックス・シャープ、サシャ・バロン・コーエン、ジェレミー・ストロング、ヤーヤ・アブドゥル=マーティン2世、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、フランク・ランジュラ、ジョン・キャロル・リンチ、マーク・ライランス、ケルヴィン・ハリソン・Jr、マイケル・キートン、ジョン・ドーマン、マックス・アドラー、ウェイン・デュヴァル

(文:村松健太郎)

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