あらすじ

ライドシェアドライバーのカート・カンクルはフォロワーを増やしたい一心であるとんでもないアイデアを思いつく。それは乗客を手にかけ、その様子をライブストリーミングで配信するというものだった。カートはSNSをバズらせて人生の一発逆転をもくろむが、「フェイクだ」「退屈だ」と、反応は散々なもので、まったく盛り上がる気配がない。思惑がはずれたカートの怒りの矛先は乗客にとどまらず、拡散させないインフルエンサーにまで向けられていく。
感想レビュー

インターネットに全く関わらないで生きていくことが難しい時代になってきた。その中でもSNSを使用する人も各世代ここ数年で急増している。また、自分で登録はしていなくてもSNSを目にすることはあるのではないだろうか?SNSも数えられないほどの種類があり、最近ではTwitter、Facebook、Instagramあたりが主流となるのだろうか。それぞれに自分の考えを文字で発信することがメインであったり「映え写真」といったことばもあるほど綺麗な写真をアップすることを目的にしていたりSNSでの発信目的もそれぞれだ。
本作の主人公の承認欲求はすさまじく狂っている。それは他人ごとではないのかもしれない。SNSを利用する誰しもが自分用の備忘録などといいつつも心のどこかでバズったら嬉しいという気持ちはあるのではないだろうか?少し前までInstagramでは「♡」の数が各投稿に表示され数を増やしたいという人がたくさんいた。最近はInstagramでは♡の数の表示はなくなっているがTwitterではいまだ♡の数表示中。人間の承認欲求は本能的なものなのか…。バズれば大金が舞い込むということもありYouTuberにも注目が集っている。現代の子供の将来なりたいものランキングも昔はプロ野球選手やサッカー場選手が上位だった。最近のランキングを調べてとても驚いた。1位会社員(8.8%)2位YouTuber(8.4%)3位サッカー選手(7.6%)(小学生の男の子のなりたいものランキング2020より)YouTuberになりたい子供がこんなにも。女子のランキングは看護師や医師など資格をもった職業が上位に増えていてなんとも現実的。
少し話はそれたが本作の主人公カートの承認欲求は少年時代から大人になるまで続きこじらせた結果というのが恐ろしい。カートの暴走と戦うことになるのは女性コメディアン(Instagramのフォロワーが多い人気者)というのが面白い。白人の人気のない青年と黒人の人気女性コメディアンというどこまでも正反対の二人だからブラックコメディながら笑ってしまう。
他人事のようでいつ自分がカートになるかわからない。また、これから自分の子供がどのようにインターネットの利用をしたらいいのか考えさせられる作品であった。少ない劇場での上映ながら全米TOP10入りをはたした本作への注目度の高さもうかがえる結果となった。
作品データ

原題/Spree
制作年/2020
制作国/アメリカ
時間/93分
ジャンル/サスペンス、スリラー、コメディ
受賞歴/
原作/
配給/OSOREZONE
監督/ユージーン・コトリャレンコ
キャスト/ジョー・キリー、サシーア・ザメイタ、デヴィッド・アークエット、カイル・ムーニー、ミーシャ・バートン