あらすじ
マッテオは魅力的で大胆な若手の企業家の成功者。一方、兄のエットレは中学校教師で慎重な性格。対照的な2人が、兄の病気をきっかけに距離を縮め、お互いを見つめ直していく。女優として名高いゴリーノがスター俳優のスカマルチョとマスタンドレアとタッグを組んだ監督2作目。不安や喜びがないまぜになった心情をスタイリッシュな映像で浮き彫りにする。デビュー作『ミエーレ』に引き続いてカンヌ国際映画祭のある視点部門に選ばれ、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では最優秀作品賞をはじめ8部門でノミネートされました。
クロスレビュー
邦題の柔らかな印象はある意味、トラップ。兄の闘病を支える弟の献身かと思いきや、各々のプライドや人生観が露わになっていきます。兄は美人好き、弟はゲイと、互いに悩みを秘めた生き方。地味な兄と派手な弟という図式に収まらない人間臭さ。支えているのか、支えられているのか、ああ、繋がりっていいなと思えます。デビュー作『ミエーレ』にも通じる、闘病モノや感動モノとは少し違う視点を持つヴァレリア・ゴリーノ監督のリアルさが良いのです。この監督、クセになります。
人間はだれしもが何かしらの秘密や問題を抱えて生きている生き物なのだろう。兄の病気を知った弟が最期の時までに出来ることは何だろうか?家族の死をテーマに寄り添う家族の形はドラマになる。ラストシーンの解釈はそれぞれの感性に委ねられる。「空の鳥を見なさい」これはイエス様が「幸せな人生の秘訣」を説いた時の言葉。この言葉がラストシーンの解釈に繋がればいいと思う。イタリア映画祭で出会った『ミエーレ』と同じヴァレリア・ゴリーノ監督、今後も追っていきたい監督の一人に認定!
作品データ
原題/Euforia
制作年/2018年
制作国/イタリア
時間/115分
ジャンル/ドラマ
監督/ヴァレリア・ゴリーノ
出演者/リッカルド・スカマルチョ、ヴァレリオ・マスタンドレア