社交ダンス教室を舞台としたコメディ。日本アカデミー賞をはじめ数々の映画賞に輝くとともに、配給収入は16億円のヒットを記録。本作の人気を受け、日本では「時代遅れ」と思われがちであった社交ダンスが見直され新たなブームになった。
あらすじ
ボタン会社の経理課課長として、優しい妻や生意気だが可愛い一人娘にも恵まれ、念願だった庭付き一軒家も手に入れて、仕事や家庭に何の不満もないはずの杉山正平。
しかし、彼には満ち足りない何かを感じていました。そんな、ある日正平は会社の帰り、電車の中から見えるダンス教室の窓辺で物憂げに佇む女性・岸川舞を見かけます。その美しさに目を奪われた彼は、数日後そのダンス教室を訪れ、密かに社交ダンスを習い始めることに・・・。
家族にも会社にも内緒でダンスを習い始めた正平でしたが、指導はベテランのたま子先生から受けることとなり当てが外れます。しかし、偶然5年前から同じダンス教室を利用していた会社の同僚青木富夫、プライドが高く有閑マダム然とした高橋豊子といった個性的な仲間との交流を通じて、正平は次第に社交ダンスにのめり込んでいくことに。
また、ある事件から周囲に心を閉ざしていた舞であったが、正平のダンスへのひたむきな姿を見るうちに、だんだんと心を開いていきます。

作品情報

「シコふんじゃった。」の周防正行監督が、社交ダンスを通して人生を見つめ直す中年男性を描き大ヒットを記録したハートフルコメディ。主人公・杉山を役所広司、舞をバレエダンサーの草刈民代が演じた。2004年にはリチャード・ギア&ジェニファー・ロペス共演でハリウッドリメイクされた。
公開日
1996年1月27日
上映時間
136分
監督・キャスト
監督/周防正行
キャスト/役所広司、草刈民代、原日出子、竹中直人、田口浩正、徳井優、渡辺えり子、草村礼子、柄本明
予告編
感想・レビュー
「Shall we ダンス?」公開当時の周防正行監督と言えば本木雅弘主演の「シコふんじゃった」「ファンシィダンス」で注目を浴びた新進気鋭の監督でした。
そんな周防監督がはじめ大きなヒットを記録したのが本作でした。その一方で本作で一気に国民的なヒット作を生んだ監督なった周防監督は次回作「それでもボクはやってない」まで10年以上の空白期間が空いてしまいます。その後は「終の信託」「舞妓はレディ」「カツベン!」と比較的コンスタントに作品を発表するようになりましたが、監督の中でも「Shall we ダンス?」のヒットを自分の中で咀嚼するのに時間が必要だったようです。
竹中直人や渡辺えり子はその前後の周防監督作品にも出演、お馴染みの周防一座の顔になっています。役所広司も「Shall we ダンス?」以後に2作品の周防監督作品に出演していますね。
作品では独特の視点で現代日本を描きつつ、新旧、国内外の映画へのオマージュを散りばめられていてそれを探して回るのも周防監督作品の楽しい見方と言えるでしょう。最近作は映画愛を最大限に謳った「カツベン!」だったことを考えても本当に映画が大好きなことが伝わってきます。
まとめ
本作はアメリカでも公開され、当時の日本映画の実写作品として最大のヒットを記録しました。元々クラシカルなアメリカ映画のファンでもある周防正行監督作品と言うことで、本編にも色々なオマージュが込められいます。
アカデミー外国映画賞の候補にも名前が挙がったりもしましたが、その後、当時新進気鋭の映画制作会社だったミラマックスが正式にリメイク権を獲得。

リチャード・ギア、ジェニファー・ロペス、スーザン・サランドンという豪華化キャストでリメイクされました。Jホラー以外でのリメイクはなかなか無い話なので、当時は大きなニュースになりました。リチャード・ギア自身も親日家の一面を持っていて後に「ハチ公物語」のリメイク「HACHI」にも出演していますね。
周防監督はこの作品で国内外で人気と実力を兼ね備えた監督として見られるようになり、今ではすっかり日本映画界を代表する巨匠の一人です。ちなみに主演の草刈民代は本作が縁で周防監督と結婚、縁結びの映画にもなりました。
(文:村松健太郎)
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