あらすじ
イタリアの観光地チヴィタ・ディ・バニョレージョを舞台に、ゲイカップルの結婚式をめぐる大騒動をユーモアいっぱいに描く。オフ・ブロードウェイの大ヒット舞台を、イタリアコメディ映画界の重鎮アレッサンドロ・ジェノベージが映画化。ベルリンに暮らすアントニオは、役者仲間で恋人のパオロにプロポーズし、2人は結婚を決意する。しかし、パオロはゲイであることをカミングアウトして以来、母親とは疎遠状態になっていた。一方のアントニオは両親にカミングアウトと同時に結婚の意志を伝えるため、イタリアで村長を務める父と母のもとに行こうとするが……。
クロスレビュー

登場人物のキャラがいちいち濃くて楽しい。特に女装に目覚めたおじさん・ドナートが面白くて好き。テンポもよく、とても気を楽にして観れる映画だが、真面目に語りたくなる映画でもある。「村長なら法を代弁すべきでしょ?」という主人公の母・アンナが父・ロベルトに向けたセリフと、ロベルトの苦悩の行き着く先が印象的で、現代人が父権的な存在に遂行を求める使命が描かれている。終盤の大惨事はクライマックスシーンへの勢いを削がない為にか説明が省かれているが、俳優の演技と十字架の意味などから考察するのもまた一興と思う。
宗教と慣習に根差したイタリア映画らしいコメディ映画。LGBTQに加えて難民問題など今日性の高い問題を笑いと共に作品に取り込んでいます。深い問題を押し付けるのでなく、優しく提示するスタイルなので堅苦しくなく、最後までリラックスして見れます。舞台となる天空の村・チヴィタ・ディ・バニョレージョは存在感抜群。ラストのスカッとさせるエンディングも好印象。元となった舞台作品『My Big Gay Italian Wedding』も見てみたくなります。
ぃやあ楽しい! ゲイカップルの結婚に戸惑う父親。町おこしに悩む地方都市。夢や本性や恋や家族関係に悩む人々が登場して、尽きないエピソード。LGBTや諸問題を深刻にしない逞しさが大好感のコメディ。全員がチャーミング。舞台の天空の村は美しくて訪れたくなる魅力。クライマックスからはもう、なんだこれは!と笑顔が止まりませんでした。爽快!
作品データ
原題/Puoi baciare lo sposo
制作年/2018
制作国/イタリア
時間/90分
ジャンル/コメディ
受賞歴/
原作/
配給/ミモザフィルム
監督/アレッサンドロ・ジェノヴェージ
出演者/ディエゴ・アバタントゥオーノ、モニカ・グェリトーレ、サルヴァトーレ・エスポジト、クリスティアーノ・カッカモ
2021年1月22日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテほか全国順次公開