あらすじ
ギリシャ神話のオルフェウス伝説を詩人ジャン・コクトーが現代に蘇らせた不朽の名作。パリ左岸の『詩人カフェ』で詩作に耽るオルフェの前に突如、美しい『死の国の王女』が現れる。王女に心奪われたオルフェは、妻を忘れ、生と死の世界を往来するようになる。しかし、2人の愛の先行きを案じた王女はオルフェを妻のもとへと送り返し…。
クロスレビュー
ジャン・コクトーについて「美女と野獣」を撮った人であることぐらいしか知らず、「死ぬまでにみたい1001本」に本作がノミネートしているということでどんな作品なんだろう?見る機会をくれたmyfffに感謝という気持ちでの鑑賞。なんでこれ見ていなかったんだろう。もっと早くみておけば良かった。死神が出てくるファンタジーであり、その女性に魅せられるラブロマンス。ギリシャ神話がベースにあるだけあって人間の本質をついた鋭い視点をコクトーのセンスで綺麗にまとめあげている。2020年コロナでアメリカの大作映画と呼べる作品の上映が少ない中でなんとか上映された作品のひとつ「TENET」を研究する人の中でささやかれている「オルフェ」の影響を受けているのではないか説。鑑賞後に知り、確かに!そうなのかもと唸る。もう一度「TENET」をみようかな…。1950年にこのレベルのものが撮影されていたことが驚きだ。
驚きの連続だ。70年前の作品だが幻想シーンが今なお眩しい! 昨年話題になった『TENETテネット』の映像は、もはや本作そのものだと分かる。アナログな撮影技法の工夫が魔法のようで、当時はさぞ驚きだったのではないか。怪奇特撮邦画も思い出してワクワクした。主演2人の人間離れした美貌にも、うっとり。モチーフの神話は日本の古事記と全く同じストーリーなので死生観も我々に近く、もの悲しさに満ちている。生と死と犠牲。芸術の香りがしつつも、しっかりと愛を描くエンタメだ。
存在感ありまくる死者も面白く、myfff(マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル)に出品中の『バーニング・ゴースト』への影響も顕著なので、続けて鑑賞するのも面白いかもしれない。なお、黒澤明監督の『羅生門』がベネチア映画祭金獅子賞を獲得した時の審査委員長が、このジャン・コクトー監督であった。
作品データ

原題/Orphée
制作年/1950
制作国/フランス
時間/ 1 時間 35 分
ジャンル/ドラマ
受賞歴/ヴェニス映画祭監督賞受賞
原作/
配給/新外映=東宝
監督/ジャン・コクトー
出演者/ジャン・マレー、フランソワ・ペリエ、マリア・カザレス、マリー・デア
[…] myfffクロスレビュー「オルフェ」 映画の評価ハラハラワクワク (3.5)ドキドキ (4.5) 考えさせられる (3.5)笑える (1.0)泣ける (3.5)総合評価 (3.5) […]