キタコの映画丸かじり3本目『ミナリ』

あらすじ

1980年代のアメリカ南部を舞台に、韓国出身の移民一家が運命に翻弄されながらもたくましく生きる姿を描いた家族映画。農業での成功を目指し、家族を連れてアーカンソー州の高原に移住して来た韓国系移民ジェイコブ。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを目にした妻モニカは不安を抱くが、しっかり者の長女アンと心臓を患う好奇心旺盛な弟デビッドは、新天地に希望を見いだす。やがて毒舌で破天荒な祖母スンジャも加わり、デビッドと奇妙な絆で結ばれていく。しかし、農業が思うように上手くいかず追い詰められた一家に、思わぬ事態が降りかかり……。

感想レビュー

地に足をつけて生きる家族の姿です。親が子を思い、頑張る姿は万国共通で共感度がとても高いのです。全ての人物の気持ちが分かりすぎる見事さ。説明セリフなど無いにもかかわらず、各人の思いが染み入るように伝わってきます。というのも、出演キャスト全員の演技が素晴らしいから! 中でも息子役のアラン・キム、祖母役のユン・ヨジョンには拍手喝采。演出も芝居も笑いのセンスが絶妙で、そこかしこに笑いも生まれました。

監督の幼少期がモデルとのこと。そのリアリズムが説得力を生んだのでしょう。各人の背景は詳しく語られないからこそ、想像が膨らむというもの。エンドロールでジワジワと込み上げてくるのは、タイトルのうまさです。我々にも馴染みの深い韓国食材も多く登場。汗を流して泣いて笑って、ぶつかり合う生活の情景が眩しい秀作でした。

アメリカで制作された作品ですがセリフの半分以上が韓国語だったことで、ゴールデングローブ賞作品賞のノミネートをはずされ、議論を呼びました。結果、外国語映画賞を獲得。アカデミー賞にも期待がかかります。リー・アイザック・チョン監督は『君の名は。』の実写化も決定したそう! 期待大です。

映画の評価
ハラハラワクワク
(4.0)
ドキドキ
(3.5)
考えさせられる
(4.0)
笑える
(4.0)
泣ける
(3.5)
総合評価
(4.5)

作品データ

原題/Minari

制作年/2020年

制作国/アメリカ

時間/115分

ジャンル/ドラマ

受賞歴/第36回サンダンス映画祭グランプリと観客賞、第78回ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞

配給/ギャガ

監督/リー・アイザック・チョン

出演者/スティーブン・ユァン、ハン・イェリ、アラン・キム、ノエル・ケイト・チョー、ユン・ヨジョン、ウィル・パットン

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