少女が願う家族のカタチ「もしも叶うなら」

女性監督ジネヴラ・エルカンのデビュー作は、「ジョン・ウィック:チャプター2」「ジョン・ウィック:パラベラム」「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」の国際派スター俳優のリッカルド・スカマルチョとヴェネチア国際映画祭で女優賞受賞歴もあるトップ女優のアルバ・ロルヴァケルを迎えた切なくもコミカルな家族のドラマ。

本作は、2019の年第72回ロカルノ国際映画祭のピァッツァ・グランデのオープニングを飾った。

あらすじ

両親が離婚し、パリで母と暮らすジャン、セバスティアーノ、アルマの3兄妹は、休暇でローマに住む父を訪れることになる。

それは、母が再婚相手との間に新たに子供を妊娠したことで、安静な生活を確保するためだった。

映画の脚本家している父親は魅力的だがプレイボーイ気質で離婚後も恋人が入れ替わり立ち代わりの状態。

子供たちはいきなり祖父母の家に預けらえたかと思うと、今度は共同で脚本を書いているというベネデッタとの執筆のための山籠もりに連れていかれる。

子供たちは地元の不良たちと親しくなるなど、それなりに楽しい日々を過ごしすものの、8歳の長女アルマの両親が再婚すればいいという願いはかないそうにない…。

作品情報

上映時間

100分

監督・脚本

監督/シネヴラ・エスカン

キャスト/リッカルド・スカマルチョ、アルバ・ロルヴァケル

感想・レビュー

子供の目線から別れた両親を描くというのは、今までにもたくさん作られてきた物語で、普遍性を感じさせます。

長女で末っ子のアルマがいわゆる“おしゃま”な部分を併せ持っているキャラクターで、思わぬ機転と大人っぽさを感じさせます。

物語が彼女の目線で語られるので、重くなり過ぎずにできています。

年長者に囲まれた子どもは総じてそうなりやすい部分がありますが、イタリアでもそれは変わらないようですね。

大小色々な出来事があったのちに「もしも叶うなら」というタイトルで上手い具合いに締めた感じがあります

映画の評価
ハラハラワクワク
(3.0)
ドキドキ
(3.0)
考えさせられる
(3.0)
笑える
(2.0)
泣ける
(3.0)
総合評価
(3.5)

まとめ

子供が大人の世界や事情を垣間見てしまい、それを子供の目線で語るというのはオーソドックスな作風です。

それゆえに国境を超えた普遍性を持ち合わせています。

一方で、離婚した両親の間を子供が行き来するという選択肢が、意外と気軽なのがお国柄なのでしょうか?この辺りは逆に感覚の違いを感じる部分です。フランス・パリとイタリア・ローマという形で国境を超えての往来が選択肢の一つにあるというのはなかなか驚きです。

宗教についてもカトリックと正教会の違いが分からないので、改宗と表現されるほどの変化なのかと勉強になります。

まぁ確かにバチカン市国を抱えるローマではカトリックなのかなとは思いますが、宗教が生活の中に深く根付いているというところは日本人にはあまりない感覚なので新鮮に映ります。

普遍的な親子の話、大人の事情に振り回される子ども物語の部分はすんなりと入ってくる一方で、日本とヨーロッパとの生活感覚の違いがはっきりと分かる一本でもあります。

(文:村松健太郎)

コメントを残す