myfffクロスレビュー「クエシパン ~ 私たちの時代」

あらすじ

ケベックの先住民インヌ族の居留地で育った2人の少女、ミクアンとシャニスは子どもの頃からの大親友。何があってもずっと一緒にいようと約束していた。しかしシャニスは17歳で子どもを産み、子どもの父親である気の荒い恋人を警察から守ろうとする一方、作家を志すミクアンは白人のフランシスに恋をし、狭い居留地を出ることを夢見るようになる。2人の友情にすき間風が吹き…。

クロスレビュー

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フレームホッパーのレビュー

カナダ先住民であるインヌ族の作家であるナオミ・フォンテインによる同名小説を翻案した清々しい青春映画。原作者自身が共同脚本を務めており、映画の撮影も実際にインヌ族が暮らす居留地であるケベック州のUashatで行われた。主演を中心に多くのインヌ族が出演し、自然体で素晴らしいキャラクターを確立している。作中のいたる所に先住民の文化や歴史を感じさせる表現や描写が詰まっており、主人公・ミクアンの豊かな世界のルーツとして映画を自然に特徴づけている一方、伝統と若者の微妙な対立や多様性もミクアンと親友・シャニスを通して描かれている。ちなみにタイトルの”Kuessipan”はインヌの言葉で「あなたに」「あなたの番だ」などの意味があるらしく、後で振り返ってみるとこの言葉は雄弁に語りかけてくる。美しく広大な自然に囲まれた土地での現代劇であり、あちらの自動車文化による行動圏の広さから来る、日本のそれとはまたちがった若者の自由さや焦燥感を楽しめる青春映画になっているので、刺さる人に刺さってほしい(『Life is Strange』が好きな人とかに)。

映画の評価
ハラハラワクワク
(5.0)
ドキドキ
(4.0)
考えさせられる
(4.0)
笑える
(3.5)
泣ける
(3.5)
総合評価
(5.0)

村松健太郎のレビュー

まずフランス映画の特集という時にカナダ・ケベックの映画が対象になること自体が驚きでした。考えてみればなるほどという気もしましたが・・・。さらにそこの先住民居住区という少し予習が必要な映画です。フランス語と英語が混ざり合った映画で、描かれる文化は北米地区のモノからの影響が強く、様々な文化様式が混ざり合ったこういった特異なものには発見が多く素直に勉強になりました。テイストは違いますが『ウィンド・リバー』を見たとき同じ、あの国にそういう土地があるのか!?という知らないことを教えてくれる映画でした。ストーリーとしてはオーソドックスな青春劇、大人になっていく物語になっています。それが特別に見えるのはやはり土地柄、根差している文化の部分故でしょう。

映画の評価
ハラハラワクワク
(3.0)
ドキドキ
(3.5)
考えさせられる
(4.0)
笑える
(2.0)
泣ける
(3.0)
総合評価
(4.0)

作品データ

原題/Kuessipan

制作年/2020年

制作国/カナダ・ケベック

時間/117分

ジャンル/ドラマ

受賞歴/

原作/

配給/

監督/Myriam Verreault

出演者/Sharon Fontaine-Ishpatao、Yamie Grégoire、Étienne Galloy、Cédrick Ambroise

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