イタリア映画際2021短編『フィオーリ、フィオーリ、フィオーリ!』

あらすじ

『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が生まれ故郷のイタリア・シチリア島で撮影した短編ドキュメンタリー。新型コロナウイルス対策のためのロックダウンのさなかの撮影で、美しいシチリアの風景の中自動車を走らせ、スマートフォンやタブレットPCを片手にかつての友人たちを訪ねていく。

感想レビュー

2020年5月4日から10日にかけての撮影ということで、同年3月に急激に拡大したイタリアでの第一波の新型コロナの流行がようやく収まりつつある時期であり、ロックダウン下のシチリアの風景と監督の友人たちの語るロックダウン下での生活や状況を収めた短編ドキュメンタリーとなっている。

タイトルのフィオーリ(fiori)は花という意味らしく、自動車での移動シーンで印象派絵画を通り越して抽象画のように溶けた写りになって窓の外を流れていくシチリアの草原と花々がまず想起されるが、故郷シチリアの花そのものは監督自身がロックダウン下でも自分を取り戻せる存在の一つとして捉えているようだ。

イタリアは世界の中でもかなり初期に新型コロナが感染拡大し様々な要因が重なり医療が逼迫した状況に陥ってしまった経緯があり、それがやっと落ち着いた時期を切り取った本作は、混乱の時代に不安を抱える人々に対して、変わってしまった世界や孤独との向き合い方を探り、諭すような趣がある。
エトナ山からの雄大でありながら孤独さを感じる風景に重ねて語られる友人の脚本家の世界観にすべて同意できるかは分からないが、監督の故郷と友人たちとの再会を通して、自分と世界の見つめ直し方の一例を提示しているように思える。

映画の評価
ハラハラワクワク
(3.0)
ドキドキ
(2.0)
考えさせられる
(3.5)
笑える
(3.0)
泣ける
(3.0)
総合評価
(3.0)

作品データ

原題/Fiori, fiori, fiori!

制作年/2020年

制作国/イタリア

時間/12分

ジャンル/ドキュメンタリー

受賞歴/

原作/

配給/

監督/ルカ・グァダニーノ

出演者/ルカ・グァダニーノ

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