2人目育児に悩むすべての人へ「こどもたち」

イタリア映画祭でおなじみの人気俳優コルテッレージとマスタンドレアが、子育てに奮闘しながらも翻弄される夫婦を演じるコメディー。イタリアと日本の出生率がほぼ同じことから2人目の子どもをむかえる家族の悩みも同じようなことがたくさんあり面白い傑作。

あらすじ

一人娘のアンナと幸せな生活を送っていた共働き夫婦のサラとニコラは、2人目の子供ピエトロを授かることになる。第2子を持つ生活の大変さを友人らから聞いていたもののなんとか乗り切れると思っていた夫婦だが、いざ4人の生活が始まると、自分たちが思うようには物事が進まない。周囲の助けもなかなか得られず、家族のバランスは崩れていく。

作品情報

イタリア映画際オンライン上映

上映時間
97分

監督・キャスト
監督:ジュゼッペ・ボニート
主要キャスト: パオラ・コルテッレージ、ヴァレリオ・マスタンドレア、ステファノ・フレージ

公式サイト
イタリア映画祭2021 公式サイト:朝日新聞デジタル (asahi.com)

感想レビュー

筆者は現在3歳と1歳の子どもを子育て中ということもありかなり2人育児あるある満載で楽しめた。子どもがいなかったり1人だけの人にとってはすこしわかりにくいこともあるほどの細かい小ネタも満載で見る人を選び、楽しめる人とさらっとみる程度にとどまる人に分かれる作品ともいえる。

2人目の妊娠に不安を感じて相談されることはママ友との会話のなかでよくある出来事である。1人育てるだけでも精一杯なのに兄弟は作りたいけれど2人育てる自信がない…せっかく1人手が離れてきたのにまた赤ちゃんから育てるのは…経済的に…悩みは家庭によって様々だけどその悩み全てを網羅した内容となっている点が詰め込みすぎともいえるけど綺麗に1~8章に分けられていた為、とても整理された脚本でみやすかった。

赤ちゃんとの生活の中で最初に生じるストレスは「睡眠」だろう。少なくとも最初の1年ほどは3時間毎にミルクが必要で(個人差あり)やっと眠ったから自分も寝ようと思ってもすぐにまた次の授乳ということもざらである。そんな中、旦那の協力を得られない時のイライラ感もとても共感できた。ストレスがMaxに達した時に劇中では窓から飛び降りてしまうという演出がとてもシュール!劇中では何度も母親や父親が窓から飛び降りてしまうけれど、コメディとしての面白みがじわじわと沸いてくる。

子どもの泣き声をあえて使うことなくすべてベートーベンの「悲愴」に差し替えるという演出も面白い。赤ちゃんは泣くのが仕事と言いますがよく寝る子と寝ない子がここまで違うのかと現在実際に痛感している筆者にとってこの悲愴はとても面白かった。
共感する人が多いだろうネタとして、両親への育児の手伝いを頼む、上の子の赤ちゃん返りの章はお国は違えど悩みは一緒なんだとイタリアに親近感がわいた。
劇中で一番刺さった台詞は妻が旦那に「母親なら同じこと努力しなくても出来ると思う?」と旦那に言う場面。母親も簡単にやっているようにみえるかもしれないことも毎日試行錯誤を繰り返してなんとか自分のやりやすい形をみつけてはまた生活リズムが変わったら捜しての繰り返しをしている状態であることを旦那はもっと理解するべき!
女性も息抜きをしたいし、働きたい人が増えているのも2人目を悩む原因のひとつになっているのだろう。愛の国イタリアの家庭でも子どもは1人がいいと考える人が多いのは意外だった。出生率はイタリアと日本はほぼ同じでSEXの回数を考えるとイタリアの避妊率の高さは切なささえ感じる。
2人目を持つ母親として確かに大変な時もあるとは思うけれど、幸せが2倍、4倍になっても苦労は1人育てているところから2人になっても2倍にはならないように個人的には感じている。兄弟で遊んでいる姿だったりをみていると2人いて良かったなと思うほうが勝るのである。本作は赤ちゃんが生まれてからの1年だけをクローズアップしているけれど子どもの成長なんてあっという間なので、長い目でみたら最初の1年の出来事も笑える日がくると思う!

映画の評価
ハラハラワクワク
(3.0)
ドキドキ
(3.0)
考えさせられる
(5.0)
笑える
(4.0)
泣ける
(2.0)
総合評価
(4.0)

まとめ

子育てをしていくなかで親も子どもを育てながら成長していくのだと日々痛感している。そのなかで、2人目の子どもを迎える時には1人目以上に家族みんなで歓迎できる雰囲気作りをすることはとても大切だというメッセージがつまった1本!
筆者は2人目妊娠がわかってから「幼児食アドバイザー」の勉強をして講師の資格までとってみた。母親が家族に還元できるなにかをする姿勢をもつことで自然と旦那も育児や家事に協力的になるし1人目の子どもも時には戦力になることがある。2人目への心配の気持ちはあるかもしれないけれど考えすぎないで意外となんとかなるようになっていくように思う。人生設計図通りにいくより素敵なサプライズもあってもいいのではないでしょうか!

(文:編集長)

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