黒木華がベルリン国際映画祭銀熊賞「小さいおうち」

名匠・山田洋次の82作目となる監督作、第143回直木賞を受賞した中島京子の小説を映画化。第64回ベルリン国際映画祭で黒木華は銀熊賞(女優賞)に輝いた。国内でも第38回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。
いったいどんな作品がベルリン国際映画祭で受賞しやすいのか特徴を紹介する。

あらすじ

(C)2014「小さいおうち」製作委員会

昭和11年、田舎から出てきた純真な娘・布宮タキは、東京郊外に建つ赤い三角屋根の小さな家で女中として働き始める。家の主人で玩具会社に勤める平井雅樹、その妻・時子、2人の5歳になる息子の恭一とともに穏やかな日々を送っていたある日、雅樹の部下で板倉正治という青年が現れる。時子の心が板倉へと傾いていくことに気付くタキ。それから60数年後、晩年のタキが大学ノートにつづった自叙伝を読んだタキの親類・荒井健史は、それまで秘められていた真実を知る。

作品情報

公開日
2014年1月25日

上映時間
136分

監督・キャスト
監督:山田洋次
主要キャスト: 松たか子、黒木華、片岡孝太郎、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子、橋爪功、吉行和子、室井滋、中嶋朋子、ラサール石井

予告編

公式サイト

山田洋次監督最新作『小さいおうち』2014年1月25日ロードショー! (archive.org)

感想レビュー

(C)2014「小さいおうち」製作委員会

ひとつ屋根の下に暮らす3人家族と1人の女中さんの物語を女中をしていた女性タキの目線から書いた自叙伝という形で孫が語られることのなかった祖母の過去を知ることとなる。戦時中の不倫といったスキャンダラスな出来事を小さな家から外には口外することは決してないようにつとめた女中の忠誠心とでもいうのかその姿、その精神は当時の日本人らしい。松たか子が帯を結ぶ仕草はどこか色っぽく手慣れたもので流石といったところ。
山田洋次監督の作品にいつも出演しているレギュラーメンバーとでもいうべきメンバーは今回脇にまわり松たか子と黒木華が中心に物語は進んでいくがやはりいつものメンバーの顔がみえるとなんだか落ち着くのはきっと私だけではないだろう。監督はコメディ要素が強い作品を多く撮っている印象だが戦争と不倫という題材でもシリアスになることはなく外からみたら裕福で暖かい幸せを絵に書いたような家庭の中で実は起きていた当時は許されることのなかったスキャンダルでさえも次の展開を楽しみにみられるから不思議。
この安定感が山田洋次監督らしく心地よい。

ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した作品は邦画では「彼女と彼」「にっぽん昆虫記」「キャタピラー」と過去にある。共通点として社会派の作品が受賞しやすい。

映画の評価
ハラハラワクワク
(4.5)
ドキドキ
(4.0)
考えさせられる
(4.0)
笑える
(3.0)
泣ける
(4.5)
総合評価
(4.5)

まとめ

(C)2014「小さいおうち」製作委員会

現代でいう『家政婦はみた』の戦時中バージョンとでもいうべき作品。だが、タキの綺麗な心に触れてラストは涙。脚本がうまい、役者がうまい、紅茶がうまい!うまいが三拍子揃った秀作。
ベルリン国際映画祭銀熊賞をとった過去作も紹介しているのであわせてチェックしてほしい。

(文:編集長)

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