宮崎駿監督の長編アニメーション第3作で、スタジオジブリの初の制作作品。批評の面では成功し、テレビで放映されればいまだに高い視聴率を記録している現在ではにわかに信じられないことですが、公開当時は決してヒットしたと言えなかった作品でもありました。
作品情報

公開日
1986年8月2日
上映時間
124分
監督・キャスト
監督:宮崎駿
主要キャスト:田中真弓、横沢啓子、寺田農、初井言榮、常田富士男、永井一郎、神山卓三
公式サイト
天空の城ラピュタ – スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI
感想レビュー

冒険と謎解き、フレッシュなラブロマンス、個性的なキャラクターが多数登場し、ダイナミックなアクションもふんだんに盛り込まれている『天空の城ラピュタ』。これが劇場公開時にはヒットしなかったというのだから驚きです。個人的に一番、多く見ているジブリ作品なので思い入れもあるのですが、確かに大ヒットして話題になったという記憶はありませんね。
ラピュタの元ネタ、ネーミングの由来は『ガリヴァー旅行記』と言われています。その第三章に空中都市として“ラピュータ”の名前が出てきます。さらにさかのぼれば古代ギリシャの哲学者プラトンの著書にたどり着きます。『ハウルの動く城』や『魔女の宅急便』など西洋の伝承をモチーフにした作品は宮崎駿監督作品の定番ですね。一方で日本の伝承を基にしたものには『千と千尋の神隠し』『もののけ姫』があります。
ラピュタの外観はフランスの世界遺産の修道院のモンサンミッシェルやイタリアの分離集落チヴィタ・ディ・バニョレージョがモデルになっています。チヴィタ・ディ・バニョレージョと言えば2021年1月22日から公開されるイタリア映画『天空の結婚式』の舞台になっていて、その様子をよく見ることができます。ラピュタの機能面としては『旧約聖書』の都市ソドムとゴモラを焼き払ったことやインドの叙事詩『ラーマーヤナ』のエピソードからの引用を見てとることができます。劇中で登場する巨大飛行船の名前ゴリアテも『旧約聖書』に登場するネーミングです。

劇中の文明・技術としてはおおむね産業革命時期のものと推察できますが、一部には当時ではないハイテクも見ることができます。デザインの面では宮崎駿監督が手掛けたアニメーションシリーズの代表作『未来少年コナン』などとの共通項を見て取ることもでき、この辺りは男子心をくすぐる魅力的なガシェットになっています。ロボット兵を筆頭にフィギュア化されているものもあります。
テレビでも2年に1回ほどのペースで放映されていますが、ソフトもDVDとBlu-rayで発売されています。細かいところを確認したければBlu-rayがおすすめです。三鷹の森ジブリ美術館の屋上にはラピュタの守り人であるロボット兵の実寸大のオブジェが常設されています。

まとめ

『天空の城ラピュタ』は多層的な要素を持ち合わせ、いくらでも深堀りができる密度の濃いアニメーション映画になっていますが、基本的にはシンプルなボーイミーツガールのアドベンチャー映画です。そのシンプルな構造こそがこの映画が長年愛される所以でもあるのでしょう。見る方法をその時々で自由に変えられるそんな映画です。
(文:村松健太郎)
[…] この作品のみどころのひとつとして最高のロケ地があげられる。イタリアの人気観光地チヴィタ・ディ・バニョレージョが舞台になっている。同じ舞台となっている映画としてあのジブリの名作「天空の城ラピュタ」や人気ドラマの続編「映画ホタルノヒカリ」がある。現在、この街に住んでいるのはたった数人でどんどん街は小さくなり今後なくなってしまうと言われている。なくなるまでに一度は行きたい場所のひとつ。新婚旅行でも大人気のイタリアに行く予定のある人は是非この映画をみて欲しい! […]