あらすじ
緊急コールセンターのオペレーターとして働くローズは、まだ小さな娘と息子の世話をしながら在宅勤務をしなければならない。仕事と家庭の緊急事態が重なり、状況が緊迫していく…。
クロスレビュー

とても共感できるドラマだった。現在、コロナ禍で在宅ワークを余儀なくされる人が急増していると思う。その時に、近くに子どもがいる空間で仕事をすることがどれだけ難しいか…。共感する人も多い作品だろう。特に緊急の電話を受けなくてはいけない仕事という設定が作品の緊迫感を引き上げている。いつまで続くのか先がみえないコロナウイルスとの共存生活に息がつまりベランダで窓の外の空気を胸一杯に吸うことが母親にとってのほんの少しの休息の場であるということも万国共通だった。
休日の自宅で二人の子供の面倒を見る母親が、上司からの要請で在宅でコールセンター業務にあたる一夜のお話。次々とかかってくる救急の電話を通して様々な事情で不安を抱える市民の情景がありありと浮かんでくる一方、映画はタイトな脚本・編集とアパートの一室のみのロケーションで構成されており、思わず唸らされる。
言うことを聞いてくれない子供を気にかけながら在宅で救急の電話を受けるというのは無理難題であり、突き詰めればベストを尽くせなかったという苦い事実が残る。短時間に凝縮された象徴的な物語であればこそ、その過失あるいは罪を指摘することは容易だが、現実世界ではもっと煩雑でよくわからない状況の中で緩やかにボタンの掛け違いが起こっていることだろう。舞台は2020年4月、フランスで新型コロナの第一波が猛威を奮っていた時期である。
作品データ

原題/Call Waiting
制作年/2020
制作国/フランス
時間/15分
ジャンル/ドラマ
受賞歴/
原作/
配給/
監督/Lucas Besnier
出演者/