FHの映画の小窓 第2回『BLUE/ブルー』

あらすじ

©2021『BLUE/ブルー』製作委員会

面倒見の良い先輩ボクサーの瓜田(松山ケンイチ)はずっと負け続き、その上好意を寄せていた幼馴染の千佳(木村文乃)は後輩の彼女になった。瓜田に誘われボクシングを始めてタイトルマッチに挑むまでになった後輩の小川(東出昌大)は、ボクシングで受けた身体的ダメージに苦しみ、恋人の千佳に現実を突きつけられる。モテたい一心で柄にもなくボクシングを始めた楢崎(柄本時生)は、本来の目的はからっきしだが瓜田の指導に絆されてボクシングの魅力に取りつかれていく。

感想レビュー

©2021『BLUE/ブルー』製作委員会

監督自身がボクシング歴30年以上の経験者ということもあって非常にリアルなボクシングジムやボクサーの情景を感じさせてくれる青春映画。ボクサーの話となると生活苦や、勝負の厳しさ、浮き沈みなど、どうしても重苦しい話をイメージしがちだが、この映画はそういう厳しい現実は現実でしっかり描きつつも、ボクシングに魅入られた男たちのオブセッションに寄り添う讃歌のような爽やかさがある。

登場人物の造形や俳優陣の演技も良く、瓜田と小川の対比だけではなく楢崎についても詳細に描いたことで、観客を引き込む厚みのある物語になっていると思う。ボクシングシーンがしっかり本物に見えるのも、それ自体が見どころであると同時に、映画全体の現実感を高めている。

終盤の展開に関わってくるので詳しくは語らないが、個人的には『桐島、部活やめるってよ』という映画をふと思い出した。別の映画を持ち出しての勝手な妄想だが、桐島後にあり得える無数の可能性の一つとして、東出昌大と彼の演じたキャラクターたちがオーバーラップするのだ。

映画の評価
ハラハラワクワク
(4.5)
ドキドキ
(4.0)
考えさせられる
(3.5)
笑える
(3.5)
泣ける
(4.0)
総合評価
(4.0)

作品データ

©2021『BLUE/ブルー』製作委員会

原題/

制作年/2021年

制作国/日本

時間/107分

ジャンル/スポーツ、青春

受賞歴/

原作/

配給/ファントム・フィルム

監督/吉田恵輔(「吉」は「つちよし」が正式表記)

出演者/松山ケンイチ、木村文乃、柄本時生、東出昌大

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