あらすじ

男はカフェバーに立ち寄り、一人の女性が座るテーブルに相席する。二人は「アポロ81」、「恋のコード」というニックネームを持つ二人は、カードゲームで駆け引きの対決を始める。
クロスレビュー

もしも、こんなカードバトルがあったらがつまった1作!ルールの内容は全く説明がないからどうなるのか!?どこが終着点なのか!?2人のカードをだしあいながら相手を言い負かす会話劇を見守る観客となる視聴者巻き込み型のショートフィルムが面白い。相手を口説くカードバトルが実際にあったら楽しそう。カードを出す順番によって会話の方向は変わることから人生、会話ひとつひとつすべてが選択の連続と言っているようでもあった。恋の駆け引きの押したり引いたりを勝ち負けみたいに表現していたのが相手の心の中の本音部分を覗けたみたいだった。
恋(?)の駆け引きをカードゲームバトルで表現した楽しい短編だった。
昨今のインターネットでは、会話が苦手な人が他人との会話をカードバトルに例えて「会話デッキ」なるものを予め構築し、いざ実際の会話でそのデッキから話のネタを引き出すというミームがある程度認知されているが、2015年のスペインの短編映画ですでに類似した概念が用いられていたというのがまず面白い。この概念の起源は一体いつごろなのだろうか(笑)
もっとも話のネタを予めストックしておく事自体は、そこまで珍しいことでもないだろう。この映画が一味違うのは、手札から出したカードによって現実が操作されたり書き換えられたりする点で、その荒唐無稽さが短編映画として程よいダイナミックさを生んでいて楽しく観れる。またそれをチープに見せないようなVFXや演出も冴えている。
なにかしらのカードゲームの経験者だと、劇中のゲーム進行や一手一手に対して理不尽さを感じてゲーム表現がいいかげんだと見做すこともできるが、恋愛や対人関係で考えるとそういうのは案外あって、それがリアリズムとも捉えられるのがなんとも言えないところだ。
作品データ

原題/Apolo 81
制作年/2015
制作国/スペイン
時間/12分
ジャンル/コメディ、ロマンス
受賞歴/
原作/
配給/
監督/Óscar Bernàcer
出演者/