一歩踏み出す勇気を持つ「オール・マイ・クレイジー・ラブ」

あらすじ

アカデミー賞受賞監督のサルヴァトーレス（『エーゲ海の天使』）が挑んだのは、奔放な父と自閉症の息子の愛情ほとばしるロードムービー。息子のヴィンセントが生まれてから長い年月を経て、ウェディングシンガーのウィリは、ある夜勇気を振り絞り初めて息子に会いに行く。その出会いとヴィンセントの予期せぬ行動は、２人がお互いを知り、親密になっていくエピソードに繋がってゆく。主演は、『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』のサンタマリア。19年ヴェネチア国際映画祭特別招待作品。

クロスレビュー

フレームホッパーのレビュー

ある実在の父子をモチーフにした小説を原案に敷いた映画で、美しくも遠い情景を見せてくれる。それでいて作中に出てくる「怠惰なスイマー」という印象的な表現は全ての人に対する励ましのようであり、作中で人々の才覚を見出す役柄でもあった養父マリオの温かい眼差しを感じる。怠惰でも下手でも泳がざるをえないのが人生であり、みな色とりどりの仕方なさを抱えている。その仕方なさを幸せに変えるには運と決断が必要だが、人生のペースは人それぞれ。俳優陣の魅力もあり、深刻そうな局面でもどこか朗らかな楽しい映画。

編集長のレビュー

実話を元にしたフィクション。あそこの場面がフィクションなんだなとわかりやすいエピソードがロードムービーのスパイスとして用意されている。夫が妻に言い放った「幸せは権利じゃない」という台詞が重たく感じた。幸せは自分で掴み取るモノだと言わんばかりに生きる力にあふれた親子の物語りだった。

作品データ

原題/Tutto il mio folle amore

制作年/2019

制作国/イタリア

時間/97分

ジャンル/ドラマ

原作/「抱擁を恐れないで」

配給/

監督/ガブリエーレ・サルヴァトーレス

出演者/クラウディオ・サンタマリア、ヴァレリア・ゴリーノ、ディエゴ・アバタントゥオーノ